「蘇州(中国) 緑つづく道」 「森本哲郎の美しい文章と写真を味わうシリーズ」(その3)
冨田鋼一郎
有秋小春


蕪村は、特徴のある顔の神仙や人物の作品が多く遺っている。
仙人の黄初平と漁夫を並べてみると、蕪村ならではの特徴があることに気づく。その顔は一癖も二癖もある。人間臭さたっぷりだ。
[団子っ鼻]
蕪村の男は、団子っ鼻の男が多い。黄初平はそのひとつ。若い黄初平は杖を持つと、たちどころに石ころを羊に変えてしまう術を持つ。
[心ここにあらぬ虚ろな目付き]
黄初平と漁夫の目は正面を見据えているようで、どこか虚(うつ)ろで何か夢見心地の表情だ。
漁夫図の漁師は釣りの用意をしているが、良い釣り場を探しているのではない。渓流を上っていって思いがけず見つけることになる桃源郷の入り口を見つけてしまうという陶淵明の「桃源記」にある漁夫だろう。