作品・本・人物紹介

子漢(蕪村)筆「盧雁図」

冨田鋼一郎
紙本淡彩マクリ
サイズ 46cm×60cm落款 「平安息羽 子漢写」
印  「男子生有四方志」(白文大方印)
「四明山人」(朱文方印)

画号「子漢」からして寛保期、蕪村30歳前後の作品

番の雁。北方からの長旅の疲れを癒しているのだろうか。雁の重量を持ちながらも柔らかな立体感のある躯体を、筆先や筆腹を用いて難なく描いてしまう力量に驚く。

まだ無名の時期、確たる絵の師匠を持たなかった蕪村。若くしてこのような画が残っている事実からは、努力とともに天賦の才があったとしかいいようがない。

⭕️雁行て門田も遠くおもはる﹅ 蕪村

雁行(春)
今まで門前の田で餌をあさる雁の姿に親しんできたのに、春になって北へ飛び去ると、門田も寂しく心に遠い眺めになってしまったことだ。

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ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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