日々思うこと

みずほ銀行のキャッチコピー

冨田鋼一郎

「ともに挑む。ともに実る。」

みずほ銀行から来年のカレンダーをいただいた。そのキャッチコピーに目が留まる。

今年に限って、なぜ「挑む」の言葉を使ったのだろう。この言葉は、われわれ顧客にどう映るのか。

「皆さん、今年は、新しいリスクに挑戦してみませんか。そして、ともに実り多い未来を手にしましょう」。伝えたいことはこんなことか。

「挑む」は、リスクを積極的に取る「投資社会化」、きっと新NISAを念頭にしているのだろう。

「新NISA口座をたくさん取り込んで、我々も稼ぎたい」との思惑が透けて見える。

私の子供のころの富士銀行のキャッチコピーは、「皆さまとともに歩む銀行」だった。

「ともに歩む」は、銀行もリワードもリスクも顧客と共有することだ。リスクを顧客に一方的に背負わせることではない。

今の銀行は、テーブルに顧客の隣に座って寄り添うのではなく、テーブルの向こう側にいて交渉相手となっているように映る。

もう一度「皆さまとともに歩む」の精神を復活させてほしい。

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ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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