定点観測 3月9日の牡丹
冨田鋼一郎
有秋小春
板橋区立美術館の展覧会に行った
目的は一つ、蕪村「闇夜漁舟図」を見るため
・「黒」は何ものにも染まらない特異な色である。
・18世紀、灯火用の菜種油の普及によって、夜の時間を楽しめるようになった。これまで伝統的な日本絵画で描かれてこなかった、「影」や「暗闇」も描写されるようになった
・多くの人が絵を楽しむようになった江戸時代に絵画表現が広がり、黒は多様に用いられた
・墨の色は、墨の種類(青墨など)や水分量によって、墨色は変化するので、灰色も墨の色に含まれる
・墨の諧調によって、光と闇を表現する
・「闇夜漁舟図」
画集でしか見たことがなかった
一見る、忘れがたい作品
遠景の家屋の窓からは、ほのかな菜種油の光が漏れてくる
画面全体に墨を刷き、樹木などに濃淡を施すことで、本来の闇の深さを映し出している
「闇夜漁舟図」は、墨の諧調を巧みに用いた繊細な闇の描写と、光に対する蕪村の鋭敏な感覚が結びついた優品