日々思うこと

「エド・イン・ブラック展」

冨田鋼一郎
[館前の紅白]

板橋区立美術館の展覧会に行った

目的は一つ、蕪村「闇夜漁舟図」を見るため

・「黒」は何ものにも染まらない特異な色である。

・18世紀、灯火用の菜種油の普及によって、夜の時間を楽しめるようになった。これまで伝統的な日本絵画で描かれてこなかった、「影」や「暗闇」も描写されるようになった

・多くの人が絵を楽しむようになった江戸時代に絵画表現が広がり、黒は多様に用いられた

・墨の色は、墨の種類(青墨など)や水分量によって、墨色は変化するので、灰色も墨の色に含まれる

・墨の諧調によって、光と闇を表現する

・「闇夜漁舟図」
画集でしか見たことがなかった
一見る、忘れがたい作品

遠景の家屋の窓からは、ほのかな菜種油の光が漏れてくる

画面全体に墨を刷き、樹木などに濃淡を施すことで、本来の闇の深さを映し出している

「闇夜漁舟図」は、墨の諧調を巧みに用いた繊細な闇の描写と、光に対する蕪村の鋭敏な感覚が結びついた優品

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ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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