日々思うこと

蕪村の朝顔

冨田鋼一郎

大雨、酷暑お見舞い申し上げます。

蕪村には朝顔の佳句がいくつかあります。ところが絵は描いていないと言われてきました。しかし、最近、若き蕪村が描いた朝顔画が発見されました。

これは、寛保元年1741年、蕪村25歳、絵画修業を始めた頃の習作です。

⭕️朝顔の一輪深き淵の色 蕪村

藍色の朝顔。その一輪の小さな花の中に深淵の藍の色のすべてが湛えられているかのようだ。深淵の深きことはこれ眼前の朝顔、といった禅問答めかした機知的把握。(講談社蕪村全集註釈)

⭕️あさがほや手拭いのはしの藍をかこつ 蕪村

朝の洗顔の折、露に濡れた朝顔の藍色と見比べて、手拭の端の藍染めなんざァ、この朝顔の色にくらべたら問題じゃねえ、と愚痴をこぼす。その愚痴を通して朝顔の藍の深さをたたえた。(講談社蕪村全集註釈)

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ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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