日々思うこと

椿椿山(つばきちんざん)展

冨田鋼一郎

板橋区立美術館で『椿椿山展 軽妙淡麗な色彩と筆あと』に行ってきた。

若き蕪村が清時代の画家、惲南田(うんなんでん)の花卉図を熱心に習っていたことは、Kindle出版『「蕪(ぶ)」とはなにか 蕪村「倣惲南田花卉図」』で紹介した。

しかし、惲南田の輪郭線を用いない技法と淡墨淡彩の画風に日本で最も私淑した文人画家は椿椿山(1801-1854)だ。

師の渡辺崋山から画論について様々教えを乞うている。写意とは何か、気韻生動とはなにか。

対象物にぴったりと寄り添う優しい筆使いと小さな命への眼差し、温雅な作風にしばらく見とれる。
気を衒わず、これ見よがしな所がないので、見飽きない。

花鳥画では、あるいは師の崋山を凌いでいるかもしれない。

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ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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