漱石が見つけた言葉
冨田鋼一郎
有秋小春

むかし、職場の先輩が「酒を飲むわけ」について話してくれたことを思い出す
心の中にもう一人の自分がいる
いつも自分を監視しているから鬱陶しい
だから、たまには「もう一人の自分」を忘れるために酒を飲むのだという
私は酒をすすんで飲みたいと思ったことがない
酒に弱い方だから、「もう一人の自分を忘れる」ほど飲んだことがない
人は、普通、そばに「もう一人の自分」という監視役がいるので、自制心を働かせ、思ったとしても行動を起こすまでにはいたらない
そもそも「集団」で生きていくのだから、自分の思い通りになるわけがない
昨今の自暴自棄な事件を耳にするにつけ、タガが外れて犯罪を犯してしまう人が少なからずいることに衝撃をうける
悪事だとがわかっていながら、「もう一人の自分」を抹殺して、実行してしまう
後悔は、後になって募ってくるはずだ
「都民ファースト」「アメリカファースト」の、’ファースト’という言葉も今ではすっかり色褪せてしまった
人の心ほど不可思議なものはない