ふるさと 浜松のこと
冨田鋼一郎
有秋小春
○落ちざまに虻を伏せたる椿かな 漱石
椿の花がうつ向きに落ちて、虻が花に伏せられた様子
漱石は椿の花を小説のなかに上手に小道具として使っている
王維 「田園楽」 六言絶句
桃紅復含宿雨
柳緑更帯春煙
花落家僮未掃
鶯啼山客猶眠
桃の紅にして復た宿雨(しゅくう)を含み
柳の緑にして更に春煙(しゅんえん)を帯ぶ
花落ちて家僮(かどう)未だ掃わず
鶯啼いて山客(さんきゃく)猶眠る
宿雨: 宵越しの雨
春煙: 春のもやや霞の類い
家僮: 少年の召し使い
山客: 山村の客人(王維自身)
王 維(『旧唐書』によれば699年 – 759年、『新唐書』では701年 – 761年)
8世紀、盛唐の高級官僚で、時代を代表する詩人。また、画家・書家・音楽家としての名も馳せた。字は摩詰、最晩年の官職が尚書右丞であったことから王右丞とも呼ばれる。
李白が「詩仙」、
杜甫が「詩聖」、
王維は「詩仏」。
韋応物・孟浩然・柳宗元と並び、唐の時代を象徴する自然詩人。王維はその中でも際だった存在 “南画の祖”でもある
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