骨董品

渡辺崋山 俳画「壬生念仏(みぶねぶつ)図」蕪村句画賛

冨田鋼一郎
H19.0 x W12.0 (cm)

長き日を云ハでくるるや壬生念仏 夜半翁
印   「登」(朱文方印)

季語:長き日(春)

蕪村の句「長き日を」を賛にして、壬生踊りに興じる男女の踊る姿を描いた。
壬生念仏の面白さに、長い春の一日を退屈だなどと口に出す間もなくて、日は暮れてゆく。

壬生念仏は、京都壬生寺で毎年陰暦3月14日から10日間行われる念仏会の折、寺内の狂言堂で開催される仮面をつけての黙劇。
念仏会が終わると、夏になる。今年の立夏は5月5日。

崋山は、俳画の名手としての蕪村を意識していた。江戸時代を代表する文化人の二人、崋山と蕪村の具体的な繋がりを伝える作品。
踊る男女は、永遠に踊り続けているような錯覚を覚える。画も賛も蕪村と見紛うばかりの筆致である。
スケッチの名手である崋山は、蕪村同様に名もなき庶民の一瞬のしぐさを捉える卓越した力があることがわかる。

スポンサーリンク

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
記事URLをコピーしました