日々思うこと

天声人語 2025.6.12

冨田鋼一郎

「低出生率の罠」に陥る

長年の施策が全て裏目に、惨憺たる有様

早くから問題は気づいていた
無策で手をこまねいていたわけではない
《少子化対策》として打つ施策は読み誤りのオンパレード 
政治が日本の衰退に拍車をかけている

耳が痛い天声人語だ

☆☆☆☆

日本は、典型的な「低出生率の罠」に陥っている。英国の人口学者ポール・モーランド氏は近著『人口は未来を語る』で、少子化が進む日本をそう分析した。

「罠」とは、《出生率が低下すると子どもを持つことへの意識や価値観が変わり、さらに低出生率を招くこと》を指す

同著は、仕事と出産の両立が困難な日本には「母親としても働き手としても満たされずにいる女性が大勢いる」と指摘した。

暮らしが豊かで犯罪率が低くても、幸福度が低いのは「当然のことと言わざるをえない」とも

この状況を罠と呼ぶなら、どうすれば抜け出せるのか。2024年に国内で生まれた日本人の子どもが70万人を割ったとの発表に、考え込んでしまった。100万人割れから、まだ9年しかたっていない

原因は複雑なので、取り組みも多様であるべきだ。政府は30年以上も各種の少子化対策を打ち出してきた。だが、目に見える効果がないのはなぜか。

逆説的だが、「どれも少子化対策だったから」ではないかと思い至った

子ども・子育て支援も婚活イベントも、近年のプレコンセプション(妊娠前)ケアにしても、活用する人がいる一方で、「産めという圧力」と感じる女性もいるだろう。キャリアや健康のためよりも、「少子化をやめて」と求められているような。

大切なのは、自分の生き方を自分で決められるとだれもが思えることだ。「子どもを増やすこと」ばかりを重視する政策ならば、罠から逃れることはできないだろう。

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ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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