骨董品

渡辺崋山筆「川魚図」扇面

冨田鋼一郎
H14.0 x W45.5 (cm)

辛卯仲冬〇
  崋山外史 朱文小豆瓢型印「登」
天保二年(1831)冬十一月

天保二年の秋、崋山は、旅に続く旅に日々を送った。旅先では務めの日常では味わうことのできない解放感を味わうことができた。

9月門人高木梧庵を伴い三宅友信の生母(お銀、まち)を探訪し相州厚木に旅し(『相日記』に結実)、10月には梧庵を伴い、上州桐生(妹もと嫁ぎ先、岩本茂兵衛)および足利に旅行(『毛武記』に結実)。さらに11月引き続き、家譜調査のため三宅氏の故領武州三カ尻を調査、12月江戸に帰る。

この扇面は、仲冬とあるから武州三カ尻付近(現在の熊谷付近)に滞在時に描いたもの。渡良瀬川や荒川で採れる川魚を賞味したのだろう。旅先では人々に乞われるままに多くの絵を描いた。

渡辺崋山(わたなべ かざん1793-1841)
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冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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