日々思うこと

今日(2022年11月27日)の雑司ヶ谷墓地

冨田鋼一郎

明け方の雨雲は通り過ぎた。墓地はすっかり晩秋だ。

漱石『こゝろ』では、先生がかつての友人Kの月命日にここに墓参りする。

墓地の区切り目に、大きな銀杏が一本空を隠すように立っていた。
その下に来た時、先生は高い梢を見上げて、「もう少しすると、きれいですよ。この木がすっかり黄葉して、ここいらの地面は金色の落葉で埋まるようになります」と言った。

印象的な場面描写だ。
主人公の「私」は、この先生から何を学びとったのだろう。

漱石さんは、『こゝろ』の読者に何を伝えたかったのだろう。

来月12月9日は漱石忌。漱石さんはここに眠っている。

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ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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