作品・本・人物紹介

遺歌文集『曳馬野の萩』

冨田鋼一郎

この夏に父の七回忌を迎える。私ら兄弟で編んだ遺歌文集『曳馬野の萩』を取り出してみた。

父は大正4年生まれ、昭和13年に銀行に就職。その年のうちに召集令状、中支と比島に出征、俘虜。戦後長くサラリーマンとして働く。
俘虜時代に始めた短歌が生涯の趣味で、敬愛する清水比庵主宰の同人「窓日」に所属した。
父母の老いの10年間自宅での同居体験は、私にとってかけがえのない思い出だ。101歳の生涯だった。

○柿採りは身軽な妻が木に登り見守るわれが下で受け取る(平成15年)
○雨戸繰れば即ち匂う木犀の清しき香りに今日を行くべし
○悲喜こもごも思い出多く巡りくる結婚記念日五十回目(平成5年)

驚くことに私も今秋とうとう結婚50年を迎えることになる。

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ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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