池袋東口立大正門
冨田鋼一郎
有秋小春

今回の統一テーマ「安永天明俳諧」として、西の浪華俳諧の代表の上田秋成(1734-1809)が採りあげられた
秋成は、浮世草子、読本作家で、俳諧にも手を染め、蕪村と同世代である
演題)
近衞典子氏「浪華俳諧を考える―秋成の俳諧を中心に―」
上田秋成は小説作家、国学者、歌人として著名であるが、数多くの俳諧作品も残している。若い頃に俳諧に親しんだ秋成は、後年俳諧から離れていったと考えられているが、今回与えられたテーマは「安永・天明期の俳諧」であり、この時期を出発点として、改めて秋成と俳諧との関わりについて考えてみたい。
安永・天明期の秋成の俳諧活動と言えば、初めての宗因句集として評価される『むかし口』(安永六年刊)と、安永三年蕪村序、天明七年刊行の初の俳諧文法書『也哉鈔』に指を折るであろう。そして、この二書が誕生する土台には、中村幸彦により「宝暦・明和の大阪騒壇」と名付けられた時代と場所があった。具体的に秋成の俳諧作品や小説『癇癖談』、紀行『去年の枝折』等に触れつつ、秋成の芭蕉観、大坂城落城への関心、大坂における『連歌提要』享受、小説と俳諧との距離など、秋成俳諧および大坂俳壇の様相について考察したい。