日々思うこと

フリチォフ・ナンセン

冨田鋼一郎

「難民 命を救う闘い」(NHK「映像の世紀」シリーズから)で出会ったフリチォフ・ナンセン(1861-1930)という人物。
海洋学者、探検家として出発。

流氷に密閉されて漂流しながら北極点に達するという計画を立てて特別に設計されたフラム号で12人の乗組員とともにクリスチャニア(オスロ)を出港した。
予定通り流氷群につかまり漂流を始めたが、考えたほど北極点に近づかなかった。(「ナンセンの北極探検ルート」地図参照)

スェーデン統治下のノルウェーの初代難民高等弁務官。難民救済の基礎を作った男。
国際連盟のノルウェー代表となり、26カ国に存在した45万人もの戦争捕虜の帰還を任され成功を収めた。

1921年8月、国際連盟は、ロシア革命によって住み慣れた土地を追われた100万人以上のロシア難民への支援要請を赤十字国際委員会より受け、ナンセンを初代難民高等弁務官に任命した(在任1921~30年)。

ギリシャとトルコ間でおきた民族紛争から逃れた大勢の人々をも支援。
1922年、難民の法的保護を確立するため、「ナンセン・パスポート」と呼ばれる旅行・身分証明書が創設され、同年、ナンセンはノーベル平和賞を受賞した。
難民の父と呼ばれている。

ナンセンの精神は、ロバート・キャパ、沢田教一、緒方貞子さんに繋がっていく。

1954年、「ナンセン難民賞」創設。第1回受賞者は、エレノア・ルーズベルト2022年の受賞者はアンゲラ・メルケル。

ナンセンの難民・避難民救済の貢献が、国際社会におけりノルウェーの地位の高さに一役買っているのだろう。

ナンセンの名言
「人生において、一番大切なことは自己を発見することである。
そのためには、時には一人きりで静かに考える時間が必要だ。」

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ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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