骨董品

渡辺崋山筆「月下鹿図」手控帖4

冨田鋼一郎
H20.3 x W10.0 (cm)

朱文方印「登」

月の照る夜、崖の斜面の鹿を描く。メス鹿を呼ぶ男鹿だろう。鹿のしぐさや下草のしなり具合にも情が籠もっている。優しい眼差しを感じる。

崋山はどんな時でも懐に手控え帖を手放さなかった。眼前の光景、人物、動植物、書物など目に留まったもの、興をもようした時には、直ちに取り出して手早く書き留めた。筆をとることは、心に刻む行為であった。

スケッチする時、崋山は縁取りをすることが多かった。縁取りは、これから描くぞと気分を整える意味があったのだろう。

今回、手控え帖が崩されたまくり状態の6点を順次掲載する。
いくつかは糸によって綴じられていた跡が残っている。

渡辺崋山(わたなべかざん1793-1841)
スポンサーリンク

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
記事URLをコピーしました