「洗足池花笠庵ふれあい塾」は今月で丸7年となった
冨田鋼一郎
有秋小春




「絹の光ったような濃い」雲
梅雨明け直後、川越街道をバイクで走る
蒼空の高い所に薄い秋雲を見つける
漱石の表現
『三四郎』
三四郎と美禰子が広田先生の引っ越し手伝いに行き、二階の窓から外を眺めながら、会話をかわす
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「何を見ているんです」「中てて御覧なさい」「鶏ですか」「いいえ」「あの大きな木ですか」「いいえ」「じゃ何を見ているんです。僕にはわからない」「私さっきからあの白い雲を見ておりますの」なるほど白い雲が大きな空を渡っている。
空は限りなく晴れて、どこまでも青く澄んでいる上を、絹の光ったような濃い雲がしきりに飛んで行く。風の力が烈しいと見えて、雲の端が吹き散らされると、青い地が透いて見えるほどに薄くなる。あるいは吹き散らされながら、固まって、白く柔らかな針を集めたように、ささくれ立つ。
美禰子はその塊(かたまり)を指さして言った。
「駝鳥(だちょう)の襟巻(ボーア)に似ているでしょう」
三四郎はボーアという言葉を知らなかった。それで知らないと言った。美禰子は又、「まあ」と言ったが、すぐ丁寧にボーアを説明してくれた。