読書逍遥

読書逍遥第465回『こころの天気図』(その4) 私とは?あなたとは? 河合隼雄著 聞き手 工藤直子

冨田鋼一郎

『こころの天気図』(その4) 私とは?あなたとは? 河合隼雄著 聞き手 工藤直子

「秘密からの合図」

秘密と自立ー悲しみと喜びと

子供の成長過程で、ごく自然に起こる秘密

秘密を持つことと自立していくことは、密接な関係がある

身近な大人に言われた通りの生き方からちょっとはずれてみて、自分の力を試してみたくなる 言われた通りでいるだけではその子の発展はないわけです

そんなタイミングで象徴的な出来事(障害)が起こる 秘密は根本的なことを考えるきっかけとなる

秘密でみがきがかかるか、傷つくか
秘密は人を鍛える

@@@@

この宇宙のなかに子供たちがいる。これは誰でも知っている。しかし、ひとりの子供のなかに宇宙があることを、誰もが知っているだろうか。それは無限の深さと広がりを持って存在している。

大人たちは、子供の姿の小ささに惑わされて、ついその広大な宇宙の存在を忘れてしまう。

大人たちは小さい子どもを早く大きくしようと焦るあまり、子供たちのなかにある広大な宇宙を歪曲してしまったり、回復困難なほどに破壊したりする。

このような恐ろしいことは、しばしば大人たちの自称する「教育」や「指導」や「善悪」という名のもとになされるので、余計たまらない感じを与える。

私はふと、「大人になるということは、子供たちの持つこのような素晴らしい宇宙の存在を、少しずつ忘れ去っていく過程なのか」とさえ思う。
(河合隼雄『子どもの宇宙』)

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ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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