読書逍遥第441回『絵を見る技術』(その4) (ー名画の構造を読み解く) 秋田麻早子著
冨田鋼一郎
有秋小春
臨床心理学の醍醐味
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「個」と「普遍」について
最近、「個」と「普遍」ということに興味があります
学問というのは、普遍的真理を基盤としている。
普遍的というのは、例えば僕が見ても、あなたが見ても同じように見える時、「普遍性がある」わけでしょう。
だから観察者、つまり学者が、自分の「個」を消していくわけですね。そういう方法で自然科学の学問は成立している。
ところが、臨床心理学のような分野では、「個」を生かしていかないとダメ、というようなところがあります。
自分自身の「個」を生かし、相手の「個」も生かし、その個人的なものを、どんどん深めていく、突きつめていくことによって普遍性に至るという方法をとっているわけです。
文学の場合も、「個」通じて、普遍にいたるというのは、はっきりありますね。