読書逍遥

読書逍遥第463回『こころの天気図』(その3) 私とは?あなたとは? 河合隼雄著 聞き手 工藤直子

冨田鋼一郎

『こころの天気図』(その3) 私とは?あなたとは? 河合隼雄著 聞き手 工藤直子

臨床心理学の醍醐味 

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「個」と「普遍」について

最近、「個」と「普遍」ということに興味があります

学問というのは、普遍的真理を基盤としている。
普遍的というのは、例えば僕が見ても、あなたが見ても同じように見える時、「普遍性がある」わけでしょう。
だから観察者、つまり学者が、自分の「個」を消していくわけですね。そういう方法で自然科学の学問は成立している。

ところが、臨床心理学のような分野では、「個」を生かしていかないとダメ、というようなところがあります。

自分自身の「個」を生かし、相手の「個」も生かし、その個人的なものを、どんどん深めていく、突きつめていくことによって普遍性に至るという方法をとっているわけです。

文学の場合も、「個」通じて、普遍にいたるというのは、はっきりありますね。

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ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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