読書逍遥第218回 『オランダ紀行』(その7) 街道をゆく35 司馬遼太郎著
冨田鋼一郎
有秋小春
原題 A MOST IMPROBABLE JOURNEY
A Big History of Our Planet and Ourselfs
スケールの大きな本だった
無機質の世界を扱う物理学・化学・地質学の知見と、有機物の世界の生物・人間の世界を融合させて、優れたストーリーとして展開してくれた
「地球は、その中に人間の一切の物語が書かれている一冊の本である」 (森本哲郎の言葉)
[歴史の特徴 連続と偶然について]
・物理学の法則に支配される領域
・化学の法則に支配される領域
・生物学の法則に支配される領域
さらに、加えて
・人間が織りなす様々な営為の集積の領域
物理学と化学の法則が支配する領域では、数学的に公式化できる
しかし、生物学の領域では、単細胞生物、多細胞生物が独立した主体として行動する
地球は、無生物の領域で自然法則で説明できる物質の四態(プラズマ、固体、液体、気体)を超えて、それよりはるかに複雑な形で組織された物体(生物)を生み出した
自然法則などまるで存在しないと思われる新たな領域(「生命」と「人間」)が始まった
生物圏、人間圏の登場
[歴史の2つの見方]
歴史には、方向性(時間の矢)がある
歴史には、周期性(時間の環)がある
連続(方向性と周期性)
偶然(事前に予測できないが、歴史に重大な影響を及ぼす)
ビッグヒストリーでは、連続と偶然が重なる