読書逍遥

読書逍遥第458回『ありえない138億年史』宇宙誕生と私たちを結ぶビッグヒストリー (その10) ウォルター・アルバレス著

冨田鋼一郎

『ありえない138億年史』宇宙誕生と私たちを結ぶビッグヒストリー (その10) ウォルター・アルバレス著

原題 A MOST IMPROBABLE JOURNEY
A Big History of Our Planet and Ourselfs

スケールの大きな本だった

無機質の世界を扱う物理学・化学・地質学の知見と、有機物の世界の生物・人間の世界を融合させて、優れたストーリーとして展開してくれた

「地球は、その中に人間の一切の物語が書かれている一冊の本である」 (森本哲郎の言葉)

[歴史の特徴 連続と偶然について]

・物理学の法則に支配される領域
・化学の法則に支配される領域
・生物学の法則に支配される領域
さらに、加えて
・人間が織りなす様々な営為の集積の領域

物理学と化学の法則が支配する領域では、数学的に公式化できる

しかし、生物学の領域では、単細胞生物、多細胞生物が独立した主体として行動する

地球は、無生物の領域で自然法則で説明できる物質の四態(プラズマ、固体、液体、気体)を超えて、それよりはるかに複雑な形で組織された物体(生物)を生み出した

自然法則などまるで存在しないと思われる新たな領域(「生命」と「人間」)が始まった

生物圏、人間圏の登場

[歴史の2つの見方]

歴史には、方向性(時間の矢)がある
歴史には、周期性(時間の環)がある

連続(方向性と周期性)
偶然(事前に予測できないが、歴史に重大な影響を及ぼす)

ビッグヒストリーでは、連続と偶然が重なる

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ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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