読書逍遥第463回『こころの天気図』(その3) 私とは?あなたとは? 河合隼雄著 聞き手 工藤直子
冨田鋼一郎
有秋小春
「この絵はバランスがいい」ってどういうこと?
ーーバランスの見方
「知らない」にはニ通り
・知らないということを知らない 視線誘導
・分かっているけど、どうしてなのか知らない バランス
バランスの善し悪しはどう判断するのか
確認方法は、立たせてみて立つかどうか 名画は線的にも量的にもバランスが取れている
絵の背骨の「構造線」を見つける 基本は三つ
1.縦 立っている感じ
2.横 寝ている動きのない感じ
3.斜め 動きを感じさせる
「経路」は表層的な輪郭線を追うのに対して、「構造線」はその内側の芯をつかむもの
世の中でバランスが取れている状態というのは、部分的もしくは一瞬しかなく、世界は常に有為転変している
そして、芸術は、バランスが取れた一瞬の理想的な瞬間を、絵の中に組織化しようとする試みである
バランスを取ることが目的なのではなく、その方法は無限にあり、どうバランスをとっているかという点に意味が込めてあるということ
時の試練に耐えた名画は、必ずバランスを取っている
[ホッパー「日曜日の早朝」]