読書逍遥

読書逍遥第441回『絵を見る技術』(その4) (ー名画の構造を読み解く) 秋田麻早子著

冨田鋼一郎

『絵を見る技術』(その4) (ー名画の構造を読み解く) 秋田麻早子著

「この絵はバランスがいい」ってどういうこと?
ーーバランスの見方

「知らない」にはニ通り
・知らないということを知らない 視線誘導
・分かっているけど、どうしてなのか知らない バランス

バランスの善し悪しはどう判断するのか
確認方法は、立たせてみて立つかどうか 名画は線的にも量的にもバランスが取れている

絵の背骨の「構造線」を見つける 基本は三つ

1.縦 立っている感じ
2.横 寝ている動きのない感じ
3.斜め 動きを感じさせる

「経路」は表層的な輪郭線を追うのに対して、「構造線」はその内側の芯をつかむもの

世の中でバランスが取れている状態というのは、部分的もしくは一瞬しかなく、世界は常に有為転変している

そして、芸術は、バランスが取れた一瞬の理想的な瞬間を、絵の中に組織化しようとする試みである

バランスを取ることが目的なのではなく、その方法は無限にあり、どうバランスをとっているかという点に意味が込めてあるということ

時の試練に耐えた名画は、必ずバランスを取っている

[ホッパー「日曜日の早朝」]

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ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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