日々思うこと

「笈の小文」の冒頭

冨田鋼一郎

二日つづきの時雨

旅人と我が名呼ばれん初しぐれ 芭蕉
 また山茶花を宿々にして 由之

☆☆☆☆

闇バイトニュースが流れる殺伐とした世の中にしぐれ、冬到来だ

同じしぐれでも、江戸時代では対極にある
寒くないしぐれ

「呼ばれん」+「初しぐれ」

旅立ちの浮き立つ気持ちを芭蕉はこう表現した
芭蕉が漂泊の詩人と言われる所以だ

ワキ「また山茶花」を持ってくる見事なさばき

「また」とは何か
数年前の名古屋での歌仙「冬の日」(『野ざらし紀行』)第1巻の冒頭の「山茶花」を受けている

狂歌木枯身は竹斎に似たるかな 芭蕉
 たそやとばしるかさの山茶花 野水

笠にサザンカの花ビラをつけてお越しになった方はどなたでしょうか

木枯らし(しぐれ)とサザンカと芭蕉
句会に集った連衆に共有していた情報である

同じ風土の四季豊かな自然に抱かれて、つつましく暮らす人々の心の交響

今と江戸では、どちらが本当に豊かなのだろう

「笈の小文」の冒頭

二日つづきの時雨

旅人と我が名呼ばれん初しぐれ 芭蕉
 また山茶花を宿々にして 由之

☆☆☆☆

闇バイトニュースが流れる殺伐とした世の中にしぐれ、冬到来だ

同じしぐれでも、江戸時代では対極にある
寒くないしぐれ

「呼ばれん」+「初しぐれ」

旅立ちの浮き立つ気持ちを芭蕉はこう表現した
芭蕉が漂泊の詩人と言われる所以だ

ワキ「また山茶花」を持ってくる見事なさばき

「また」とは何か
数年前の名古屋での歌仙「冬の日」(『野ざらし紀行』)第1巻の冒頭の「山茶花」を受けている

狂歌木枯身は竹斎に似たるかな 芭蕉
 たそやとばしるかさの山茶花 野水

笠にサザンカの花ビラをつけてお越しになった方はどなたでしょうか

木枯らし(しぐれ)とサザンカと芭蕉
句会に集った連衆に共有していた情報である

同じ風土の四季豊かな自然に抱かれて、つつましく暮らす人々の心の交響

今と江戸では、どちらが本当に豊かなのだろう

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ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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