読書逍遥

読書逍遥第437回『日本史の謎は「地形」で解ける』【文明・文化編】(その10) 竹村公太郎著

冨田鋼一郎

『日本史の謎は「地形」で解ける』【文明・文化編】(その10) 竹村公太郎著

[今回のテーマ]

江戸を支える仕組み 幕府直轄の「天領」

鎖国下の江戸幕府の列島全土の木材エネルギー覇権戦略
用途は多岐に 建材、造船、家具、道具、燃料

日本列島の主だった流域の上流域を天領として、森林を抑えた

天領では木々を勝手に伐採することは許されない

 利根川流域
 天竜川流域
 木曽川流域
 紀ノ川流域
 吉野川流域
 筑後川流域
 雄物川流域

「船運」の整備
切り出した木材を江戸に運搬する水運網を整備し、全国の流域から森林エネルギーが江戸に注入され続けることになった

日本海側の東北から下関、瀬戸内海、大阪の北前船ルート、
太平洋側の仙台から、銚子、利根川、江戸へのルート

19世紀初、江戸の人口は百万人を超えて世界最大級の都市となった

江戸末期、日本列島の森林は荒廃していた ペリー黒船は封建体制から中央集権国家への転換というだけでなく、日本文明の転換点だった→蒸気船・化石エネルギー文明を運んできた

石炭:
地球が何億年もかけて貯めた太陽エネルギーの缶詰

[広重「大はしあたけの夕立」]
筏が見て取れる
天領の秩父の山から切り出した木材が筏で江戸まで運ばれる光景

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ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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