読書逍遥第166回 『江戸という幻景』渡辺京二著
冨田鋼一郎
有秋小春
[今回のテーマ]
江戸を支える仕組み 幕府直轄の「天領」
鎖国下の江戸幕府の列島全土の木材エネルギー覇権戦略
用途は多岐に 建材、造船、家具、道具、燃料
日本列島の主だった流域の上流域を天領として、森林を抑えた
天領では木々を勝手に伐採することは許されない
利根川流域
天竜川流域
木曽川流域
紀ノ川流域
吉野川流域
筑後川流域
雄物川流域
「船運」の整備
切り出した木材を江戸に運搬する水運網を整備し、全国の流域から森林エネルギーが江戸に注入され続けることになった
日本海側の東北から下関、瀬戸内海、大阪の北前船ルート、
太平洋側の仙台から、銚子、利根川、江戸へのルート
19世紀初、江戸の人口は百万人を超えて世界最大級の都市となった
江戸末期、日本列島の森林は荒廃していた ペリー黒船は封建体制から中央集権国家への転換というだけでなく、日本文明の転換点だった→蒸気船・化石エネルギー文明を運んできた
石炭:
地球が何億年もかけて貯めた太陽エネルギーの缶詰
[広重「大はしあたけの夕立」]
筏が見て取れる
天領の秩父の山から切り出した木材が筏で江戸まで運ばれる光景