読書逍遥

読書逍遥第432回『日本史の謎は「地形」で解ける』【文明・文化編】(その6) 竹村公太郎著

冨田鋼一郎

『日本史の謎は「地形」で解ける』【文明・文化編】(その6) 竹村公太郎著

地図を歴史と融合させると、奥行きの深い理解ができる 

[今回のテーマ 利根川東遷]
なぜ家康は、利根川を東に曲げたか

家康の深謀遠慮
関東平野と坂東太郎(利根川)の関係

家康の都市計画は壮大である

家康は生涯1000回以上の鷹狩りをした 実は遊びを装った各地の立地調査だった

利根川東遷の理由
江戸と南関東を利根川の洪水から守り、肥沃で広大な農地を確保する
利根川の水を味方にして、仮想敵である北の伊達政宗の侵攻を防ぐ

天然の要塞だった関東平野
6千年前の縄文前期は海面は今より5m高かった 海だった跡地に利根川や荒川が土砂を運び、アシ原の大湿地を形成 
湿地帯は防衛上有利となり、天然の要塞だった

関東は三本の川と湿地で守られている
・秩父山地から荒川
・浅間・三国・赤倉から利根川
・足尾から渡良瀬川

北関東と房総をつなぐ橋が唯一掛かっていたのが関宿(せきやど)

中世以降、京の都からすると房総半島は東日本の重要戦略拠点

黒潮と親潮のぶつかる房総南部は船の航行の難所 江戸湾の制海権を掌握するには、関宿を南下して上総を占拠する 
家康は関宿が弱点だと理解した

唯一の鬼門は関宿(せきやど)

江戸城建設からさらに、
・「小名木川と新川の堀割」
黒潮と親潮の波を避ける

・「御成街道」で船橋から東金まで直線でつなぐ軍用道路で上総を防衛する

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ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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