読書逍遥

読書逍遥第429回『日本史の謎は「地形」で解ける』【文明・文化編】(その4) 竹村公太郎著

冨田鋼一郎

『日本史の謎は「地形」で解ける』【文明・文化編】(その4) 竹村公太郎著

今回のテーマ
“日本人の平均寿命をV字回復させたのは誰か”

「水道インフラ」に着目

大正10(1921)水道の塩素殺菌開始が、乳児死亡率の劇的改善に貢献

後藤新平(1857-1929)が立役者
・コッホ研究所細菌学を学び、医学博士
・大正7(1918)シベリア出兵液体塩素開発
当時外務大臣
・水の殺菌に塩素が有効であることを理解
・毒ガスの液体塩素の民生利用

大正9(1920)東京市長
大正10(1921)水道塩素殺菌開始
大正12(1923)関東大地震  

☆☆☆
[世界の動き]

西欧における公衆衛生の観念は日本より半世紀ほど早い

1830年代 フレデリック・チューダー
ボストン中南米との氷貿易事業開始

1853 ジョン・スノウ イギリスの医師
コレラロンドン流行の原因特定に貢献
ロンドン「感染地図」作成

エリス・チェスブロウ 
シカゴの汚れた水との闘い 
運河と鉄道の土木工事
 
「清潔さ」に対する認識向上
手を洗う 身体を洗う 上下水道の分離

ロベルト・コッホ
顕微鏡と測定法開発
1876 炭疽細菌発見
1882 結核菌 その後コレラ菌発見

20世紀初、ジョン・レアル 
次亜塩素酸カルシウム(塩素剤)ニュージャージー水道公社で極秘裏に使用、裁判へ
史上初の都市水道の大規模塩素消毒で乳幼児死亡率が劇的に低下
公衆衛生史上最も突飛で大胆な介入

効果が証明されて、直ちに米全土に波及
日本では約20年後、大正10年を境に乳幼児死亡率激減へ

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ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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