読書逍遥第309回『文明の主役 エネルギーと人間の物語』(その7) 森本哲郎著 2000年発行
冨田鋼一郎
有秋小春
ローマ帝国の都 ローマ 政治、経済、文化の中心
「世界の首都(カプトゥ・ムンディ)」
ローマ街道を進む速度を人類が超えることができたのは、最近になってから、19世紀半ばからはじまった鉄道の発展と、20世紀に入っての自動車の普及によってである
ローマ帝国の滅亡からの一千四百年の歳月は、速い交通手段が人間の足と馬と馬車であり続けた状態には変化はなかった
これだけ広範な地をこれだけ長く維持したのは、次々と征服した異民族を隷属させず、同じ法の下で市民として受け入れ、敗者の町は「地方自治体(ムニチピア)」として、この共同体内部での自治が完全に認められていたからだ
パックス・ロマーナ(ローマの平和)と言われる所以だ