読書逍遥

読書逍遥第411回『すべての道はローマに通ず』(その9) 塩野七生著

冨田鋼一郎

『すべての道はローマに通ず』(その9) 塩野七生著

話題は「道」から「橋」に移る

ブラタモリで「東海道五十七次」を見た
大津から京へ向かわず、伏見を経て大坂に向かう別のルートがあった

出発点は、どちらも江戸の「日本橋」
終点は、京都「三条大橋」と大坂は「高麗橋」

街の中心(起点)なのは、いずれも「橋」であることが面白い

☆☆☆

ローマ街道の最初が「アッピア街道」ならば3千を数えるといわれるローマ式の橋の最初は首都ローマのテヴェレ川にかかる「スブリチウス橋」である

「街道」と同様に「橋」も、自分たちの住む地と他者の住む地を隔離するのではなく、連絡する意図に沿ってなされたということでも同じだった

敷石舗装が義務付けられている幹線道路は、車道の幅が4メートル強、両側に並行している歩道は3メートル

橋もまた同様の幅のつくりとなっている

テヴェレ川にかかっていた橋の11本のうち5本まで現在でも使用され続けている
いかに堅固に造られていたか

現在ヨーロッパで日々使う通貨「ユーロ」紙幣は5、10、20、50、100、200、500ユーロの7種類ある

その紙幣の裏面にはどれにも各時代の「橋」が印刷されている

最初の5ユーロ紙幣には、古代ローマの橋が採り上げられた

すべてのユーロ紙幣を「橋」で共通させた理由は、人々の交流を拒否する「壁」ではなく、交流を促進する「橋」だからであり、ヨーロッパ連合を象徴させたかったからだ

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ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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