読書逍遥

読書逍遥第410回『すべての道はローマに通ず』(その8) 塩野七生著

冨田鋼一郎

『すべての道はローマに通ず』(その8) 塩野七生著

エジプト人のピラミッドとローマ人の街道網の違い 

資材の調達方法の違い   エジプト人は必要と思った資材は遠方からでもわざわざ運ばせて使う。ローマ人は極力現地で調達可能な資材を活用する。         
目的                ただ1人の人間の死後のための工事か、それともより多くの人間の現世の生活に役立つことを考えての工事か

古代ローマ公共事業のモットーとは
 ○堅固で長持ち
 ○機能性に優れ
 ○かつ美しい

エジプト人は、そもそも交通路としても最適なナイル川に恵まれていたので、街道と呼ぶに値する道路は必要がなかった

ギリシャ人は、海上交通が盛んであったことと、都市国家の抗争が激しかったので、各ポリス間を結ぶ街道網の敷設など考えもしなかった

ペルシャ帝国には、紀元前5世紀にすでにギリシャの歴史家ヘロドトスを驚嘆させた「王道」があった
それはペルシャ湾に近いペルセポリスから地中海側のサルディスまでの二千五百キロを結んでいた

しかし、アッピア街道ならば五本分になる二千五百キロの距離も一本だけだった

ローマ街道の最大の特長は、単線ではなく、「ネットワーク化」されていたこと
他では「ネットワーク化」の発想は見られない

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冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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