読書逍遥

読書逍遥第408回『すべての道はローマに通ず』(その7) 塩野七生著

冨田鋼一郎

『すべての道はローマに通ず』(その7) 塩野七生著

世界史上はじめて「ネットワーク化」された街道を張り巡らしたローマ帝国

どのような思想哲学を持っていたのか

☆☆☆

すべての道はローマに通ず、というよりも、すべての道はローマより発す、とした方が適切ではないかと思う。

それはローマが帝国の心臓であったからだ。心臓から肉体のすみずみにまで血液を送り出す動脈が、ローマ街道であった。

首都ローマを出た時は十二本であったローマ街道は、極寒の北海から酷暑のサハラ砂漠、大西洋からユーフラテス川、イギリスからシリア、ドイツやバルカンからエジプトまでも網羅していたローマ帝国全域に広がっていくうちに、全線敷石舗装を義務付けられた幹線だけでも三百七十五本を数え、その全長は8万キロに達するするようになる。

これに砂利舗装だった支線までも加えた15万キロもの大血管網が、ローマ帝国という生身の人間の肉体に張りめぐらされていたということだ。

そして、これらの街道すべての端緒が、紀元前312年に着工したアッピア街道だった。

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冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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