読書逍遥第313回『文明の主役 エネルギーと人間の物語』(その11) 森本哲郎著 2000年発行
冨田鋼一郎
有秋小春
「勇気、正直、親切」を巡って、往復書簡形式で哲学的に考えていく
著者の思索に導かれて、「勇気、正直、親切」が結びつき、ひいては自分の(呼ばれている)ミッションを考えるヒントを得る
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・勇気とは、「孤立に耐える」ための資質である
・「孤立に耐える」ということは、人間にとって、とても困難な、しかし重要な営みである
・「ちょっと助けて」の他者の声と「ちょっと手を貸してくれないか」という主の声が聞こえなくなると、「自分を呼ぶ声」も聴こえなくなる
・「孤立に耐えることのできる人は、他者の他者性に耐えることができる」
・理解も共感もできない他者を前にしたときに、それを「人間ではない」とか、「忌まわしいもの」とかいうふうにラベルを貼って分類・処理することは自制する
そして、しばらくの間の「判断保留」に耐える勇気を持つ
・人間の暴力を駆動しているのは、「なんだかわからないもの」に対するこの嫌悪と恐怖である
あらゆる戦争も、差別も、ジェノサイドも、起源までたどると、「他者が他者であることの不快」に耐えられない(勇気のない)人間の弱さにたどり着く
勇気はこの弱さとまっすぐに向き合い、自分を少しずつ強くするための足場です。
他者が他者であることに耐えることのできる力です。
この力を僕は勇気と呼びたい。