読書逍遥

読書逍遥第386回 イギリス『女王の国の伝統と流行』1986刊行

冨田鋼一郎

イギリス『女王の国の伝統と流行』1986刊行

「世界 知の旅」シリーズ
責任編集 森本哲郎

クイーンエリザベスの国葬からもう二年になる

(はじめに)

ロンドンは雨の日がいい。小雨の中、私は夏目漱石が下宿しくしてたという家を見に行った。漱石は何度も下宿を変えている。

私が訪ねたのはリージェント・パークの北西にある住宅街の一角、赤レンガの家と、テムズ川南岸のチェイズ通り81番地に残っている昔ながらの建物だ。80年以上も前の下宿が今も見られる。ロンドンはそういう町であり、イギリスはそういう国である。

明治以来、日本はイギリスに多くを学んだ。「この国の文学美術がいかに盛大で、その盛大な文学美術が、いかに国民の品性に感化を及ぼしつつあるか」を漱石は痛感し、それに比べて、日本の社会の有り様がなんとも情けなく思われ、暗澹たる思いに沈んでいる。

それから百年近く、日本は大いに変わり、イギリスのまた変わった。だが、私たちは百年の手本だったイギリスを本当に理解してるだろうか。英語は勉強しても、イギリスの歴史、文化、そして品性を正確に認識しているのだろうか。

そう省みつつ、私はあらためてイギリス「知の旅」を試みた。

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(小田島勇志)

少なくともロンドンと、もう一つはどこか田舎を見てもらいたい。
シェイクスピアに興味があれば、彼の生誕の地、ロンドンから160キロ、汽車で2時間半のストラットフォードでもいいし、それも観光名所だけではなく、ちょっと離れて民家の人と話をするとか。スコットランドを一周するのも非常に良いですね。

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[白亜の絶壁]
写真では玄人はだしの著者

イギリス海峡にそそり立つ白亜の断崖絶壁と灯台。この荒々しい自然が大ブリテン島を守っていた。(サセックス地方ビーチヘッド)

このような断崖絶壁は映画「ライアンの娘」で見た

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ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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