第69回『老い』シモーヌ・ド・ボーヴォワール1970
冨田鋼一郎
有秋小春
「世界 知の旅」シリーズ
責任編集 森本哲郎
クイーンエリザベスの国葬からもう二年になる
(はじめに)
ロンドンは雨の日がいい。小雨の中、私は夏目漱石が下宿しくしてたという家を見に行った。漱石は何度も下宿を変えている。
私が訪ねたのはリージェント・パークの北西にある住宅街の一角、赤レンガの家と、テムズ川南岸のチェイズ通り81番地に残っている昔ながらの建物だ。80年以上も前の下宿が今も見られる。ロンドンはそういう町であり、イギリスはそういう国である。
明治以来、日本はイギリスに多くを学んだ。「この国の文学美術がいかに盛大で、その盛大な文学美術が、いかに国民の品性に感化を及ぼしつつあるか」を漱石は痛感し、それに比べて、日本の社会の有り様がなんとも情けなく思われ、暗澹たる思いに沈んでいる。
それから百年近く、日本は大いに変わり、イギリスのまた変わった。だが、私たちは百年の手本だったイギリスを本当に理解してるだろうか。英語は勉強しても、イギリスの歴史、文化、そして品性を正確に認識しているのだろうか。
そう省みつつ、私はあらためてイギリス「知の旅」を試みた。
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(小田島勇志)
少なくともロンドンと、もう一つはどこか田舎を見てもらいたい。
シェイクスピアに興味があれば、彼の生誕の地、ロンドンから160キロ、汽車で2時間半のストラットフォードでもいいし、それも観光名所だけではなく、ちょっと離れて民家の人と話をするとか。スコットランドを一周するのも非常に良いですね。
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[白亜の絶壁]
写真では玄人はだしの著者
イギリス海峡にそそり立つ白亜の断崖絶壁と灯台。この荒々しい自然が大ブリテン島を守っていた。(サセックス地方ビーチヘッド)
このような断崖絶壁は映画「ライアンの娘」で見た