蕪村「奥羽行旅図」(8図)(その4)
冨田鋼一郎
有秋小春
蕪村は、俳画と池大雅とともに文人画(南画)の二つのジャンルを確立した
最後の画号「謝寅」から「謝寅書き」と言われて珍重されている
蕪村の画号は非常に多く、子漢(しかん)、懶郎(らいろう)、渓漢(けいかん)、渓霜(けいそう)、朝滄(ちょうそう)、四明(しめい)、三菓堂(さんかどう)、謝長庚(しゃちょうこう)、謝春星(しゃしゅんせい)そして最後に謝寅へと変遷していく
本作品は、ある著名な画僧の「寒山拾得図」双幅に、賛に「寒山詩」を添えたもの
「安永戊戌」と年紀があるので、安永三年(1778)、蕪村63歳の書とわかる
「東成(とうせい)」は、蕪村の故郷、摂津国東成郡(ひがしなりぐん)の出であることを意味している
蕪村晩年の書は、独特なクセのある、人懐こさを感じさせる親しみ深い字である