読書逍遥

読書逍遥第384回『この身体がつくってきた文明の本質』ルイス・ダートネル著

冨田鋼一郎

『この身体がつくってきた文明の本質』ルイス・ダートネル著

原題 
BEING HUMAN
How Our Biology Shaped World History

身体に関わる自然・社会諸科学の知見を駆使して、人類が辿った歴史に迫るユニークな好書!

思いがけないいくつかの視点を組み合わせて全体知に迫る野心的な試み

「著者のオリジナリティ」
「知らないことを知るとはこのような営為」
「学ぶよろこび」
「読書のよろこび」

歴史の見方がさらに奥行きの深いものになる

こんなことを感じながら、ページを捲る

「浅くとも広く関心を持とう」これを老後の愉しみにする

○風土病(エンデミック)、流行病(エピデミック)の2章
風土病に着目して、地域によって植民地支配の有り様が異なること
○精神状態を変えるために摂取するアルコール、カフェイン、ニコチン、アヘンなどの物質についての章「気分を変える」章
○遺伝子変異についての「コーディングエラー」の章
○「認知バイアス」の章

(帯文)
肉体をもった生物としての人類の壮大な歴史
疫病、人口問題、遺伝的変異、アルコール・カフェイン・薬物、長子相続、認知バイアス、、、歴史を動かした身体性!

人間には身体的な壁があるからこそ、歴史は作られた。「身体」から初めて世界史を総合的に解き明かした名著!

(はじめに)
本書では、人類の歴史の奥深くまで潜り、文化や社会、文明に人間の根本的な特徴がどのように現れていたかを探ることにする。
ヒトの遺伝子や生化学、解剖学、生理学、心理学上の奇妙な癖がどのように発露してきたか、そして一度の重大な出来事という観点だけでなく、世界の歴史で終始一貫して長期に見られた傾向の結果や波及効果が何であったかを探求したい、、、ヒトの体の特徴は、僕らが互いに学ぶ慣習や行動、技能などの人間の文化的発展に、もっと微妙な方法でも影響を及ぼしてきた。

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ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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