第95回『中世ヨーロッパ全史』上下ダン・ジョーンズ著
冨田鋼一郎
有秋小春
「世界 知の旅」シリーズ8
責任編集 森本哲郎
(はじめに)
ふらんすに行きた人思えども
ふらんすはあまりに遠し
と詩人萩原朔太郎は嘆いた。フランスへ行くことが、ひとむかし前の日本人には夢だった。それだけにヨーロッパの中でもフランスについては、じつに多くが語られてきた。文学、美術、歴史、そしてファッション、料理、恋の手ほどき、、、そんなフランスを3部に分けて編んだ。
巻頭の対談では、作家辻邦生氏に心ゆくまでフランスへの思いを語っていただいた。それを手引きに第一部、日本人のフランス体験、第二部、異国人のフランス紀行、そしてこの国の真髄を伝える数々の古典から構成した第三部へと読み進んでいただけたら思う。
本書によって、かつて遠かったフランスがいっそう近い国になるのを願いつつ。
(辻邦生のフランス評)
パリには生きていることの良さ、楽しさがあります。
実生活に何か楽しさ、美しさを加えていこうとする姿勢がある。
ちょうど食事をするのにただ栄養だけあればいいというのではなく、どうせ食べるのなら、おいしいものを食べるようにしよう、、そういう態度ですね。
つまり生きていることのおいしさを味わっている町だと思うんです。
人間がたっぷりと豊かに生きる、楽しく生きる、その象徴的な営みがあの町にははっきり現れていると思うんです。
☆☆
(古典的名著アンソロジー)
エロイーズ、モンテーニュ、ツヴァイク、ナポレオン、ボードレール、ボーヴォワール、ロマン・ロラン、サルトル、スタンダール