読書逍遥

読書逍遥第381回 フランス『恋と自由のセーヌ川』1986刊行

冨田鋼一郎

『恋と自由のセーヌ川』1986刊行

「世界 知の旅」シリーズ8
責任編集 森本哲郎 

(はじめに)

 ふらんすに行きた人思えども
 ふらんすはあまりに遠し

と詩人萩原朔太郎は嘆いた。フランスへ行くことが、ひとむかし前の日本人には夢だった。それだけにヨーロッパの中でもフランスについては、じつに多くが語られてきた。文学、美術、歴史、そしてファッション、料理、恋の手ほどき、、、そんなフランスを3部に分けて編んだ。

巻頭の対談では、作家辻邦生氏に心ゆくまでフランスへの思いを語っていただいた。それを手引きに第一部、日本人のフランス体験、第二部、異国人のフランス紀行、そしてこの国の真髄を伝える数々の古典から構成した第三部へと読み進んでいただけたら思う。

本書によって、かつて遠かったフランスがいっそう近い国になるのを願いつつ。

(辻邦生のフランス評)
パリには生きていることの良さ、楽しさがあります。

実生活に何か楽しさ、美しさを加えていこうとする姿勢がある。
ちょうど食事をするのにただ栄養だけあればいいというのではなく、どうせ食べるのなら、おいしいものを食べるようにしよう、、そういう態度ですね。

つまり生きていることのおいしさを味わっている町だと思うんです。
人間がたっぷりと豊かに生きる、楽しく生きる、その象徴的な営みがあの町にははっきり現れていると思うんです。

☆☆
(古典的名著アンソロジー)

エロイーズ、モンテーニュ、ツヴァイク、ナポレオン、ボードレール、ボーヴォワール、ロマン・ロラン、サルトル、スタンダール

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ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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