読書逍遥

読書逍遥第380回 ドイツ『森と古城とメルヘンと』1986刊行

冨田鋼一郎

ドイツ『森と古城とメルヘンと』1986刊行

「世界 知の旅」シリーズ9
責任編集 森本哲郎

見るだけの旅から、共感する旅へ
旅を深める新しいガイド

まだ東西ドイツに分かれていたころに出版された本である

(まえがき)

どんな国にも、その国を代表する、いや、象徴するという方がいい、人間像がある。その人間像はたいてい、その国の作家によって鮮やかに描き出されている。

イギリスならシェイクスピアの『ハムレット』。スペインならセルバンテスの『ドン・キホーテ』といったふうに。ドイツにそれを求めるなら、ゲーテの『ファウスト』を挙げることにだれも異論はないだろう。ドイツ的性格は、ファウストに結晶しているといってもいい。

ファースト的な人間とは、ひたすら何かを求めようとする、そして、求めようとするがゆえに迷わざるを得ない。そのような精神の持ち主である。

ゲーテはこういっている。
「人間は、努力するかぎり迷うものだ」

そして、そのような魂を育てたのは、かつて深い森におおわれていたゲルマニアの風土だった。
ドイツはいまも森の国である。その森からベートーヴェンも、グリムも、カントも生まれたのである。

では、ひとつ、その深いドイツの森に分け行ってみようではないか。

☆☆
(古典的名著アンソロジー)
ニーチェ、グリム童話集、モーツァルト、ベートーヴェン、ゲーテファウスト、ショーペンハウエル、ユゴー、トーマス・マン、ツヴァイク

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ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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