読書逍遥第272回読書逍遥『中国・江南のみち』(その2) 司馬遼太郎著
冨田鋼一郎
有秋小春
副題 文明の構造と人類の幸福
原題 Sapiens
A Brief History of Humankind
膨大な世界史を楽しみながら読んだ
優れたストーリーテラーだ
☆☆☆
「歴史を学ぶ意味」について
私たちはなぜ歴史を研究するのか?
歴史は、物理学や経済学と違い、正確な未来を予想をするための手段ではない。
歴史を研究するのは、未来を知るためではなく、視野を広げ、現在の私たちの状況は、自然なものでも必然的なものでもなく、したがって、私たちの前には、想像しているよりも、ずっと多くの可能性があることを理解するためだ。
☆☆☆
歴史の選択は、人間の利益のためになされるわけではない。
歴史が歩を進めるにつれて、人類の境遇が必然的に改善されるという証拠は全くない。
キリスト教の方がマニ教よりも優れた選択肢だったとか、アラブ帝国の方がササン朝ペルシャ帝国よりも有益だったと言う証拠もない。
歴史が人類の利益のために作用しているという証拠がないのは、そのような利益を計測する客観的尺度がないからだ。
何が良いかと言う定義は文化によって異なるし、良さを選べる客観的な物差しもない。
もちろん勝者はいつも自分の定義が正しいと信じるが、なぜ勝者の主張を信じなければならないのか?