第71回『柴田宵曲文集』全八巻
冨田鋼一郎
有秋小春
(教え子による教師漱石の回想)
「僕は一冊の本を、一回しか読まない。繰り返し読んでいたら、一生かかってもたくさん読めない。諸君も本を読むときは、生涯に一度しか読めぬものと思って読め。しかし、この本はと思うものは、字引を見るように何度も読んで、覚えてしまうことだ。」
自分は何度も繰り返し読まないと頭に入ってこない。若い時にこれを読んで、これでは漱石さんには敵わないと思った
しかし、時間が残り少くなり、漱石さんのこの言葉が胸に迫ってきている
今、本棚に長いことある本を「これが最後だ」という気持ちであれこれ手にしている。
☆☆☆
中島敦(1909-1942)
「山月記」「名人伝」など漢文調の文章を楽しむ