読書逍遥

読書逍遥第365回『書物』(その4) 森銑三・柴田宵曲著

冨田鋼一郎

『書物』(その4) 森銑三・柴田宵曲著

今は本を読まなくても情報は溢れかえっている
月に本を一冊も読まない人が6割もいるという
大臣まで乗り出して衰退著しい業界のテコ入れだそうだ

森銑三の下記文章を読むと隔世の感だ
昔は本の選び方に気をつけたものだ
どうしたら、本を手に取ってもらうかに躍起になっている

@@@@

「結び 書物愛護の精神」

教育が普及して、文字を解する人が多くなった。それだけに書物の読まれることも往昔(おうせき)に比して盛んになり、ますます盛んになって行こうとしている。

それに対して新刊書が多種多量に出版せられている。その内から各人は気に入ったものを選んで読んでいるわけであるが、書物があまりに豊富にありすぎるところから、いかなる書物を読むべきかの問題が起こる。
ついでは、いかに書物を読むべかの問題も当然起こるべきである。

あまり出版書肆がありすぎる上に、近年また新しい業者が出来すぎて、出版界はまさに混乱状態にある。
そうした時にあたって、書肆からの依頼を受けて、この『書物』の一書を著した。

スポンサーリンク

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
記事URLをコピーしました