読書逍遥第210回 『文化力 日本の底力』2006川勝平太著
冨田鋼一郎
有秋小春
今は本を読まなくても情報は溢れかえっている
月に本を一冊も読まない人が6割もいるという
大臣まで乗り出して衰退著しい業界のテコ入れだそうだ
森銑三の下記文章を読むと隔世の感だ
昔は本の選び方に気をつけたものだ
どうしたら、本を手に取ってもらうかに躍起になっている
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「結び 書物愛護の精神」
教育が普及して、文字を解する人が多くなった。それだけに書物の読まれることも往昔(おうせき)に比して盛んになり、ますます盛んになって行こうとしている。
それに対して新刊書が多種多量に出版せられている。その内から各人は気に入ったものを選んで読んでいるわけであるが、書物があまりに豊富にありすぎるところから、いかなる書物を読むべきかの問題が起こる。
ついでは、いかに書物を読むべかの問題も当然起こるべきである。
あまり出版書肆がありすぎる上に、近年また新しい業者が出来すぎて、出版界はまさに混乱状態にある。
そうした時にあたって、書肆からの依頼を受けて、この『書物』の一書を著した。