読書逍遥第230回 『モンゴル紀行』(その7)街道をゆく5 司馬遼太郎著
冨田鋼一郎
有秋小春
晩夏初秋
晩夏初秋。一年のうちで、僕はこの時期がいちばん好きだ。
気分が沈静し、記憶が鮮やかに蘇り、さまざまな回想に誘い込まれるからである。
○硝子(びいどろ)の魚(うお)おどろきぬ今朝の秋 蕪村
(解釈)
ガラス鉢の魚は何に驚いたのか?
立秋の朝、ガラス鉢の金魚がスイと動きを見せた。心なき魚も秋の気配を感じたのか。
ーーーー
確かに秋立つこの候は、毎年のことながら、新たなおどろきを呼び起こす。
そのおどろきは、詩的というより、哲学的、あるいは実在的と形容してもいいように思う。
晩夏初秋
晩夏初秋。一年のうちで、僕はこの時期がいちばん好きだ。
気分が沈静し、記憶が鮮やかに蘇り、さまざまな回想に誘い込まれるからである。
○硝子(びいどろ)の魚(うお)おどろきぬ今朝の秋 蕪村
(解釈)
ガラス鉢の魚は何に驚いたのか?
立秋の朝、ガラス鉢の金魚がスイと動きを見せた。心なき魚も秋の気配を感じたのか。
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確かに秋立つこの候は、毎年のことながら、新たなおどろきを呼び起こす。
そのおどろきは、詩的というより、哲学的、あるいは実在的と形容してもいいように思う。