第24回『詩人与謝蕪村の世界』森本哲郎著
冨田鋼一郎
有秋小春
ダーウィンの革命とはなにか
☆☆☆☆
「1250部から始まった進化」
160年前、緑色の分厚い書籍がロンドンで出版された。
それまで長い間、神様が一挙に創造したと信じられてきたこの世界の生物種の豊かさの成り立ちを、神様の力を使わずに説明したものだった。
ダーウィンの”進化論”である。
ただし、生物が進んで変化を求めたのではなく、方向のないランダムな揺らぎの中から、環境がそれに適した性質を選び出した結果として、多様性が生まれたのだとした。
正式なタイトルは『種の起源』。
出版はわずか1255部。しかし本書は生物学にとどまらず、私たちの世界観に革命をもたらした。
本が予言していた遺伝子改変によるデザイナー・ベイビーズは現実のものとなりつつある。
ひとたび活字化された言葉は、文字通り、生きた生命体として、人々の精神から精神へと旅をしながら、進化を続ける思想の媒体となる。