読書逍遥

読書逍遥第341回『ゆく川の流れは、動的平衡』(その2) 福岡伸一著2022

冨田鋼一郎

『ゆく川の流れは、動的平衡』(その2) 福岡伸一著2022

ダーウィンの革命とはなにか

☆☆☆☆

「1250部から始まった進化」

160年前、緑色の分厚い書籍がロンドンで出版された。

それまで長い間、神様が一挙に創造したと信じられてきたこの世界の生物種の豊かさの成り立ちを、神様の力を使わずに説明したものだった。

ダーウィンの”進化論”である。
ただし、生物が進んで変化を求めたのではなく、方向のないランダムな揺らぎの中から、環境がそれに適した性質を選び出した結果として、多様性が生まれたのだとした。

正式なタイトルは『種の起源』。
出版はわずか1255部。しかし本書は生物学にとどまらず、私たちの世界観に革命をもたらした。

本が予言していた遺伝子改変によるデザイナー・ベイビーズは現実のものとなりつつある。

ひとたび活字化された言葉は、文字通り、生きた生命体として、人々の精神から精神へと旅をしながら、進化を続ける思想の媒体となる。

[ジャカランダ]
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ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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