日々思うこと

父の残した膨大な短歌ファイルを繰る(その4)

冨田鋼一郎

どのページの歌をみても、親父の面影、息遣いを感じる

2週間で便箋一枚に歌が埋まる(最初は鉛筆で、途中1988年からワープロになる)

毎日一首のペースを50年も続けたことに驚き

73歳当時の1988年からいくつか

○惚け防止のわれに打たせんワープロの  
  カタログひろげ妻の勧むる
    (1988.2)

○一日だけ余生延びしうるう年の
  寒さはおまけと冷え冷え晴るる
      (1988.3)

○サラリーマンとなりて五十年
  かにかくに職もつ幸せ今朝桜咲く     
(1988.4)

○縁ゆかりさらさらなきに「巨人」が好き
  われと妻との茶の間の声援
(1988.6)

  [関口芭蕉庵]
○芭蕉住みし頃もかくやと古池の
  草繁る中黒く淀める
   (1988.9)

○雨後に射す淡き夕日に光つつ  
  紫式部の円ら実の冴ゆ
   (1988.9)

[マムシグサ]
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ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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