「自分のことを知る」にはどうすればいいの?
冨田鋼一郎
有秋小春
どのページの歌をみても、親父の面影、息遣いを感じる
2週間で便箋一枚に歌が埋まる(最初は鉛筆で、途中1988年からワープロになる)
毎日一首のペースを50年も続けたことに驚き
72歳当時の1987年からいくつか
○わが庭の梅は白きが三分咲き
紅きは蕾のままに日に映ゆ
(72歳 1987.2)
○身を正し卒業式の式辞述ぶ
壺一杯の桃匂いつつ
(72歳 1987.3)
[CT検査]
○癌の疑い晴れしを妻に伝えつつ
おのずとわれの多弁になりいる
(72歳 1987.5)
[中国旅行]
○みまかりし孔子の齢にわがなりて
はるばる来たりおろがむ墓を
(72歳 1987.8)
○延々と峰を巡りて長城の
うねるはたては霧にけぶろう
(72歳 1987.8)
○日に幾度路地に落葉を掃く妻の
「もう一息よ」と木々見上げ言う
(72歳 1987.12)