クリスマスローズ
冨田鋼一郎
有秋小春
どのページの歌をみても、親父の面影、息遣いを感じる
2週間で便箋一枚に歌が埋まる(最初は鉛筆で、途中1988年からワープロになる)
毎日一首のペースを50年も続けたことに驚き
71歳当時の1986年からいくつか
[誕生日]
○赤き実の水木の梢に積む雪の
淡き今朝より七十一なる
(71歳 1986.2)
○鉄塔の上で軽々と作業する
若きが羨し命綱まぶし
(71歳 1986.3)
[庭師]
○空青く庭師の鋏(はさみ)音冴えて
梅の見る見る剪定さるる
(71歳 1986.5)
[帰郷・墓参]
○水手向け拝む墓の辺咲き初めし
鉄線一つが風に吹かるる
(71歳 1986.5)
○夕かげにひらめきのぼる蚊柱の
伸びつつ縮みつ位置移りつつ
(71歳 1986.7)