日々思うこと

父の残した膨大な短歌ファイルを繰る(その2)

冨田鋼一郎

どのページの歌をみても、親父の面影、息遣いを感じる

2週間で便箋一枚に歌が埋まる(最初は鉛筆で、途中1988年からワープロになる)

毎日一首のペースを50年も続けたことに驚き

71歳当時の1986年からいくつか

[誕生日]
○赤き実の水木の梢に積む雪の
  淡き今朝より七十一なる
    (71歳 1986.2)

○鉄塔の上で軽々と作業する
  若きが羨し命綱まぶし
    (71歳 1986.3)

[庭師]
○空青く庭師の鋏(はさみ)音冴えて
  梅の見る見る剪定さるる
   (71歳 1986.5)

[帰郷・墓参]
○水手向け拝む墓の辺咲き初めし
  鉄線一つが風に吹かるる           
   (71歳 1986.5)

○夕かげにひらめきのぼる蚊柱の
  伸びつつ縮みつ位置移りつつ
(71歳 1986.7)

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ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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