読書逍遥

読書逍遥第255回『図書館には人がいないほうがいい』内田樹著

冨田鋼一郎

『図書館には人がいないほうがいい』内田樹著

図書館の意義について熱をこめて語る

☆☆☆

「図書館」とは、
そこに入ると、「敬虔な気持ち」になり、訪れた人たちにとっては「無知を可視化する装置」であること

つまり、自分がどれほどものを知らないのかを教えてくれる場所である

だから、粛然と襟を正して、「寸暇を惜しんで、学ばなければ」という決意を新たにする

図書館の教育的意義は、これに尽きる

「図書館」とは、「アーカイブするところ」である

書物であれ、美術品であれ、音楽であれ、アーカイブされた場所では、いつの間にかある種の「深淵」が開口し、そこに身を投じると、人は「地下水脈」に触れることができる

図書館では、簡単には答えが得られない深い質問(人間に関する質問は大体そうだ)に沈潜し、果てしない問答に没頭して過ごす

図書館で深い質問に沈潜すること自体が豊かさと喜びに満ちた時間となる

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ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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