読書逍遥

読書逍遥第248回『街道をゆく 中国・びんのみち』(その2)1984年の旅 司馬遼太郎著

冨田鋼一郎

『街道をゆく 中国・びんのみち』(その2)1984年の旅 司馬遼太郎著

中国福建省(呉地方)をめぐる旅紀行
思いがけず、日本の漢字の読み方の経緯を知ることになる

☆☆☆

「字音(じおん)」:
漢字の音(おん)じ方のこと
日本の漢音には二種類「呉音」「漢音」がある

○「呉音」 呉地方の言葉 仏教経典で使われる音 
 例: 正月 明けの明星(みょうじょう)

「呉」とは揚子江下流地域のこと
隋唐時代前、揚子江流域に興亡した六朝文化の代表的な音が「呉音」

朝鮮半島の三国のうち黄海に面した百済が盛んに呉地方と交易し、「呉音」が入る

5、6世紀、日本は百済から初めて漢字を入れたため、百済音である「呉音」が入る

「呉音」の例
 「古事記」の仮名
 「万葉仮名」
 仏教経典

○「漢音」 
 キリスト教 例: 明星(めいせい)高校

奈良朝の日本は「漢音」を学ぶようになる
漢音で統一を図ろうとするが、興福寺の僧侶団が反対したため統一は頓挫

今日に至るまで呉・漢併用という煩わしさを抱えている

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ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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