読書逍遥第178回 『国境と人類』ジェームズ・クロフォード著
冨田鋼一郎
有秋小春
中国福建省(呉地方)をめぐる旅紀行
思いがけず、日本の漢字の読み方の経緯を知ることになる
☆☆☆
「字音(じおん)」:
漢字の音(おん)じ方のこと
日本の漢音には二種類「呉音」「漢音」がある
○「呉音」 呉地方の言葉 仏教経典で使われる音
例: 正月 明けの明星(みょうじょう)
「呉」とは揚子江下流地域のこと
隋唐時代前、揚子江流域に興亡した六朝文化の代表的な音が「呉音」
朝鮮半島の三国のうち黄海に面した百済が盛んに呉地方と交易し、「呉音」が入る
5、6世紀、日本は百済から初めて漢字を入れたため、百済音である「呉音」が入る
「呉音」の例
「古事記」の仮名
「万葉仮名」
仏教経典
○「漢音」
キリスト教 例: 明星(めいせい)高校
奈良朝の日本は「漢音」を学ぶようになる
漢音で統一を図ろうとするが、興福寺の僧侶団が反対したため統一は頓挫
今日に至るまで呉・漢併用という煩わしさを抱えている