日々思うこと

恋の句をいくつか

冨田鋼一郎
[蕪村「緑蔭高士訪友図」部分]

今日は七夕

⭕️恋さまざま願ひの糸も白きより 蕪村

願いの糸(秋)
七夕祭りの折、竹竿に掛けて星に技芸の上達や恋の成就などを祈る五色の糸

(「全集」解釈)
七夕の宵に、女の子たちが様々の願いを込める五色の糸も、白から始まるように、彼女らは今の無垢な心の無邪気な願いから始まって、やがてさまざまな恋の道をたどり、各自の人生を染め上げていくことだろう。

⭕️目にうれし恋君の扇真白なる 蕪村

扇(夏)
(「全集」解釈)
大勢の中で、密かに恋い慕う殿御が手にされたの真っ白な色が嬉しく目に飛び込んできた。扇の白さを、他人との恋の色に染まらぬ印と思いなし、胸ときめかす恋心

⭕️人に言へぬ願ひの糸の乱れかな 漱石

⭕️罪もうれし二人にかヽる朧月 漱石

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ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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