骨董品

若い蕪村の絵画 墨画淡彩 『さくら川村』

冨田鋼一郎
H30.5 x W42.0 (cm)

紙本墨画淡彩
款記 「さくら川村 四明筆」
印  「長滄」(朱文方印)
  「發墨生痕」(白文方印)

落款から20代後半から30代前半に過ごした結城下館時代のものと判明する。

遠望の山は、関東平野のどこからでも望むことができる紫の霊峰・筑波山。
馬と馬子、騎乗者の実在感!図柄は小さいのに、どれもどっしりと安定している。動かぬ肥えた馬、悠然と山を望む人。板庇のある低い藁葺き屋根の家、樹木・草花の丁寧な描き分け、右上の薄く描かれた山容の量感もよく出ている。
さくら川村は、筑波山東南にある茨城県稲敷市さくら川村か?

若き蕪村が修業中とはいえ、既にこのような質の高い写実的絵画を描いていることに注目。

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ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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