司馬遼太郎記念館に海外から“聖地巡礼”続々

2025/9/16 産経新聞
来年は司馬さんの没後30年であり、司馬遼太郎記念館も開館から25年になる。
司馬遼太郎さん(1923-1996)の自宅に隣接して整備された「司馬遼太郎記念館」(大阪府東大阪市)に、海外からの来館者が増えている。
世界的建築家、安藤忠雄さん(84)が設計した記念館そのものの魅力に加え、翻訳が増えている司馬作品に魅せられ、世界の人々を〝聖地〟に引き寄せているようだ。
クスノキやクヌギなどの木々が茂る約3200平方メートルの広大な敷地。司馬さん宅の書斎を窓越しに眺めた後、隣接する記念館の建物では約2万冊が並ぶ高さ11メートルの3層吹き抜けの大書架がある。
記念館は司馬さんの死去から5年後の平成13年11月に開館した。世界的な建築家である安藤さんの設計とあって、建築ファンらが各国から訪れていた。
上村洋行館長によると海外からの来館者はここ4、5年で増え、現在は来館者全体の2割近くに上る。
海外での翻訳は、記念館開館翌年の14年頃は8言語、21作品。現在は12言語、45作品に増えている。翻訳言語が最も多いのは徳川慶喜を描いた「最後の将軍」で、露語、モンゴル語、インドネシア語、ベトナム語など10言語で出版されている。
作品に魅せられて訪れた記念館で、販売している英訳本「日本人と日本文化」「対訳 21世紀に生きる君たちへ」を買い求める来館者も多い。
《安藤忠雄の建築をさがしにきて、司馬遼太郎を知りました。2人の世界が結びついて独特の雰囲気を醸し出しています》(仏から)
《「台湾紀行」で司馬遼太郎氏と李登輝元総統との友情に感銘を受け、訪問しました。中国語版の作品もさらに増えることを期待しています》(台湾から)
《彼の長編小説は人を夢中にさせます。ここで私は日本の歴史を深く理解し、体験することができました》(香港から)
上村館長は「国境を越えて多くの人々が記念館を訪れてくれるのはうれしい。自分を見つめ直したり、あるいは自分の将来を考えたりする場として何かを感じてもらえたら」と話した。(横山由紀子)

