新刊紹介

『薬物戦争の終焉』
自律した大人のための薬物論
カール・L・ハート著
「薬物戦争」の名のもとに行われる社会的弱者への人種差別や人権侵害は、もう終わりにしよう
(表紙裏カバー)
2022年10月、米国のバイデン大統領はそれまでの大麻規制政策の誤りを認め、政策の抜本的改革を表明した。1971年に二クソン大統領が薬物規制の取り組みをして「薬物戦争」と呼んでから半世紀、米国の薬物政策は転換期を迎えている。
コロンビア大学で依存症を中心とした研究に従事する著者が本書で主張する政策は、自律した大人の薬物の娯楽的使用を合法化すること、薬物の正しい知識を政府が市民に提供することだ。
著者は自身の使用経験も赤裸々に語りながら、薬物の本当の効果、健康被害を防ぐ安全な使用法、薬物の娯楽的使用のメリットを丹念に説明していく。
そして、健康被害だけでなく、薬物戦争にはもうひとつ深刻な問題がある。違法薬物の使用経験率に人種間の偏りはないにもかかわらず、逮捕され、投獄される人々は黒人や有色人種が圧倒的に多いのだ。彼らはきまって貧困地域に暮らし、速加や服役によってさらなる社会的弱者へと追いやられる。
米国の薬物政策の歴史は、こうした人種差別や制度的暴力を、国家ぐるみで黙認してきた悲劇の歴史なのだ、なぜ、かくも差別的な厳罰主義が横行してきたのか一黒人であり、ヘロインユーザーである神経科学者が、実体験も交えてその構造的な問題を多角的に解き明かし、違法薬物をめぐる神話を解体する。
(帯)
「この本を読んだ後、あなたは同じ人間のままではいられないだろう」
ヨハン・ハリ(「麻薬と人間100年の物語」)
「薬物戦争における米国の見事な失敗への、タイムリーで理路整然とした、思いやりあふれる反論だ」
『ブックリスト』

『シベリア3万年の人類史』
寒冷地適応からウクライナ戦争まで
高倉浩樹著
(帯)
新たなシベリア史研究の基本書、誕生!!
独自の文化と歴史を持つ世界の一地域という視点から、ロシアの一部でも日本人のシベリア抑留といった過酷なイメージでもない、先住民によるシベリアを知る。
(目次)
序 先住民の視点からの<シベリア>
第一部 人類史におけるフロンティア
第1章 極地への移動と適応
第2章 古代文化と国家との遭遇
第3章 民族・言語の分布と歴史
第II部 寒さに応答する民族社会
第4章 不平等な狩猟採集社会
第5章 狩猟と牧畜
第6章 宗教と世界観
第Ⅲ部 人新世時代の困難と希望
第7章 植民地化と近代化
第8章 エスニシティと先住民運動
第9章 グローバル化と気候変動
結 ロシア・ウクライナ戦争とシベリア

