樗良の「うぐひすの」句自画賛

冨田鋼一郎

三浦樗良は伊勢の俳人で、蕪村の俳友。

⭕️うぐひすの古声したふ初音かな 樗良

早春、待ちに待った鶯の鳴き出す季節だ。
ようやく鶯が来たかと思うと、その鳴き声は、チョッ、チョッとするばかり。
昨年のように完璧な鳴き声の「ホー、ホケキョ」を聞かせて欲しいものだ。

この「古聲したふ」とは、去年の古聲という意味だけでない。ときは蕉風復興運動が高まっている時代である。鶯=私は、むかしの芭蕉翁の目指した俳風を慕っておりますとの意味が込められている。

三浦樗良(みうらちょら、1729-1780)
江戸中期の俳諧師。別号に無為庵。

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冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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